棟梁に学ぶ、子どもへの眼差し

子どもが小さいと
いろんなものを手当たり次第 お口に入れたり、
じっとしていないで、あちこち歩き回ったり、
開けちゃいけない扉を開けちゃったり、
「まっすぐ前を向いて歩いて!」と言っても 
電信柱にぶつかっちゃったり・・・

大人の目から見たら、
どうして そうなるのか 信じられないことばかりですよね。

目の前で起こっていることに対処することで
精一杯。

もうちょっと、おおらかに 見守りたいと思いつつ
あまりに 予想外の行動をするものだから
どうしても近視眼的になってしまう。。。

でも、ある方向から見たら、
その視点も大事です。

では、一体 どうやって活かしていくのか。

それはある「眼差し」を育んでいくとできることです。

そのヒントになればと
今日の記事は書いていこうと思います。

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「木に学べ」西岡常一著

著者は、法隆寺・薬師寺の宮大工棟梁。 
もう1冊「木のいのち 木のこころ」
という本もおすすめです。

この本の中では
なんと言っても
木のクセを見て組んでいくーーということが、
一番、印象に残っています。

棟梁曰く

木は、
南側の斜面で育ったのか、
風の向きがどちら側から吹いていたのか、
標高はどのあたりか など
木が育った環境によって、
年輪の太さ、
枝のつき方、
幹のねじれ方、
水分の保有量などが
全然違います。

寸法通り、まっすぐに切り出しても
何十年と経って乾燥したり、
また湿気で膨らんだりを繰り返していくうち
その育ってきた環境が産んだ「木のクセ」で
木は、反ってきたり、うねって来たりするのだそうです。

その「木のクセ」を読みながら、
2本の木があるとしたら、
お互いの「反るクセ」が
離れるようではなく
しっかり組み合うように
木を組んで行くのです。

そうした長年の経験によって磨かれた「眼差し」によって
「木のクセ」が良さにつながるように組んで行って、
世界最長の木造建築と言われる法隆寺が
今も あるのですね!

そして、棟梁のもとで働く職人さんは
最低でも五十人はいます。
その方達が、心を一つにして
作っていかないと
建物は崩れてしまいますから、
「木を組むには、人の心を組め」とも
いうのだそうです。

職人さんは、それぞれ
ご自分のお仕事に誇りを持っていらっしゃいますから
一人ひとりの いい悪いを超えた「クセ」を
よく見極め 敬意を払いつつ、
いい仕事をしてもらうようまとめていくのが
棟梁のお仕事の一つでもあります。

「木のクセ」を活かす眼差しを 子育てにも

これを読んで
子育ても同じだなぁと
皆さんも思われたのではないでしょうか?

同じ かけがえのない「いのち」として生まれてきても
ご両親、兄弟姉妹、親戚、友人などの人間関係や
生まれ育った場所、文化、社会状況などの外的環境と、
その人が持って生まれた遺伝子や内的資質によって
人それぞれ 良い悪いを飛び越えて
いろんな「クセ(体験・経験、セルフイメージなど)」をつけながら
成長していきます。

それらを その人が持つ魅力になるよう
育んで行くには、
周りの大人たち、兄弟、友人の「眼差し」が
大切です。

特に、身近にいる大人が
良い悪いを超えた視点から
その「クセ」をよく観察し、
どう活かしていくのか、
見極めようとしていく「眼差し」が
必要になってきます。

例えば、
日々の肌の色を観察することで
胃腸の調子がわかってきますから、
どんな季節のときに顔色が悪くなるのか、
何を食べると目の色の輝きが減るのか、など
見ていきます。

また
どんなことが好きか、嫌いか、
集中する時、一つのことだけに集中するのか、
いろいろ移り変わっていきながらも、
好奇心を失わずに集中できるのか、など。

身体を動かすのが好きか、嫌いか、
一人でいる方がいいか、みんなと行動することが好きか。

同じものを見ているようで、
見ている箇所が違ったりします。
ある年齢に達したお子さんであれば
そんな時は、
お子さんの視点を大事にするとともに
多くの人が持つ視点も 伝えると良いでしょう。

それから、
全体の印象を見ているのか、
それとも細かいパーツを見ているのか。

感覚的に動くのが好きか、
それとも緻密に積み上げていく方が好きか。。。など。

これらは、
決めつけたりせずに、
また 良い悪いのジャッジもせずに
こんな面(クセ)を持っているんだなぁと
観察してみてくださいね。
成長とともに変化することもあれば、
そういう側面があっても
あまり表面に出てこなくなることもあります。

もちろん お子さんや周りの方への危険があった場合は、
対処してくださいね。

大事なことは、
お子さんが大人になった時に、
ご自分の「クセ」を観察することができるように
なっていくことです。

この「クセ」は、時と状況によって
長所にも 短所にも なり得ます。
あまり良い方向にならない時は、
周りの方に助けてもらえるような
自己肯定感と
最低限のコミュニケーション能力や
社会性を育んでいきます。

え?
そんなふうな眼差しで
見てもらえたことがないから
わからないし、できない?

大丈夫です!

安全で安心できる場のアトリエで
お絵かきや工作を通して、
お子さんの作品や創作の様子から
その眼差しを持てるような
絵や作品の見方をお伝えします。

表面的なことだけではなく
その人の人間性の深いところまで
そして 
人生の先まで
やさしく 厳しく見るような 眼差しを
一緒に 育んでいきましょう。

これからの激動の時代、
どんな困難があっても
きっと生きていく力になることでしょう。

ではでは またお会いいたしましょう!